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柏 亜矢子 Ayako Kashiwa
「極東新世界~Go to the End of East」
「極東新世界~Go to the End of East」
世界地図を見てしまった。ニッポンのトーキョーの東、チバ県。その最東端に<犬が吠える>と名前のついた、タフな岬を確認する。そこから更に東の方角へ一直線、黒潮を渡る。太平洋太平洋太平洋!線上には、一点の島影すらなく、太平洋だけが永久に続く。何もない。東の果てだった。アジアの終点、さいはて列島—完全に極東だった。その先が、ない。やっかいなことをした。おかげで目にする全ての物件に、マッチョな極東魂が宿る。「さいはてなんだよ!なめんなよ!」ペット売り場の錦鯉がドスを効かす。極東鳩の心意気。プライドを賭けて雲は消えゆく。今宵あう人みな美しく、みな要注意人物。ハードボイルドなこの状況。相当ヤバイ。かっこよすぎ。ゴングが鳴っている。あとは勝手に撮り逃げするのみ。ここは、確かに<終点>だけど、いちばん東なんだから「何かいろいろ始まりそうよ」って構えです。東に沈む太陽—だいたいそんなものは見たことがないんです。
審査評 選:飯沢 耕太郎
柏さんの特徴は、東洋の島国の雑然とした日常世界の広がりから、彼女のアンテナに引っかかってくるイメージを正確に、しかも大胆に選択してくる目のつけ所の良さである。結果として、浅草の見世物小屋のようないかがわしい雰囲気が全体に溢れ出してくる。今回はアルバムと1枚写真の組み合わせだったが、内容的にはアルバムが圧倒的におもしろい。カラーとモノクロの取り合わせ、イメージの流れと断絶の作り方など、1冊の写真集としてまとめていく力は群を抜いている。山田修二氏の70年代の傑作『日本村』を思い出したのだが、こうしてみると90年代末の日本もまた、依然として大きな「村」のままということだろう。





