キヤノンは、長年蓄積してきたイメージング技術を駆使して、高度医療に係わる病院や患者の負担軽減に貢献する、先進的な医用イメージング装置の研究開発に取り組んでいます。
身近なクリニックで気軽に精密検査
医療の現場では、人体を傷つけることなく内部の断層像や3次元像を得られる「モダリティ(医療機器)」が、必須の装置になってきています。
現在のモダリティは、X線CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)など、どれも大型で高価です。また、X線被曝の懸念などから、人体への影響はもとより、病院内に管理区域を設けるなど施設面での配慮も必要で、大きな病院でないと運用が難しいといった現状がありました。
キヤノンは長年蓄積してきたイメージング技術を駆使し、小型で安価、人体に安全で無被曝、かつ痛みを伴わない新しいモダリティを開発して、先端医療への貢献をめざしています。
光超音波イメージングシステムの概念
京都大学との産学協働で研究開発
医用イメージングの研究・開発を推進するのは、京都大学と協働で取り組んでいるCKプロジェクト。2006年度に文部科学省の「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムのテーマとしてスタートしました。期間は10年間で、基礎から実用化をめざした研究を行います。
現在、京都大学の医学・工学・薬学・情報学の研究者とキヤノンの技術者合わせて総勢200名以上が協力し合い、多岐にわたる最先端の医療画像診断分野で研究開発を推進しています。
2011年には京都大学医学部附属病院敷地内に設立された「先端医療機器開発・臨床研究センター」が稼働。CKプロジェクトは、その施設を利用し臨床研究を加速していきます。
病巣を超早期に発見する光超音波イメージング
CKプロジェクトのテーマのひとつである「光超音波イメージング」は、体内の組織が光エネルギーを吸収して膨張する際に超音波を発生する光音響効果を利用し、体内を可視化する装置です。光源に近赤外光を使い、新開発のセンサーで超音波を検出。造影剤などを使用しなくても血管像を見ることができます。
この技術を応用して、最初にキヤノンがターゲットとするのは、乳がん検査用のマンモグラフィです。検査時に被験者が被曝する心配がなく、身体的負担を軽減できます。しかも光超音波なら従来型装置に比べ、小型で安価にできるメリットもあります。
この光超音波イメージング装置は、現在確認できる大きさより微小なサイズのがんまで検知できる能力を備え、発見が難しい早期の病巣でも見つけることが可能となります。
世界を見据える医用イメージング技術
IT技術の急速な進展により、医療現場も変革期に入っています。コンピューターサイエンスを軸に技術革新の波が急速に押し寄せ、メーカーに新たなモダリティを生み出すチャンスを与えています。また、日本などでの少子高齢化社会の進展やQOL(生活の質)向上というニーズもあり、医用イメージング分野には大きな潜在成長力があります。
医療市場は、日本にとどまりません。アジアはもとより、世界へと大きく広がっています。今後キヤノンは、京都大学をはじめとした日本国内との産学連携にとどまらず、広く世界へとオープンイノベーションを促進させていく考えです。

