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開発者が語る「これがキヤノン」 DIGIC 4 part1 高速化のカギになったDIGIC 4の並列処理技術

DIGIC 進化の歩み

──
デジタルカメラの画像処理を担う「DIGIC」ですが、設計にはどんな方たちが携わっているのですか?
池田
新しい画像処理技術や撮影機能など要素技術の先行開発をするチームがいくつもあります。たとえば、顔検出機能もずっと以前から研究してきてDIGIC IIIで初搭載し、DIGIC 4では性能を格段にアップさせました。
また、要素技術の先行開発とは別に、使えそうな周辺技術を常に検討しているチームもあります。さらには、関口のようにチップをパッケージ化して基板に配置するチームもありますし、実際の製品に搭載するための個別設計をするチームもあります。
──
沢山のチームから構成されているようですが、DIGIC 4の開発テーマはずばり何だったのでしょうか?
池田
さらなる高画質化と高速化、DIGIC IIIで搭載した機能の向上・強化、それに新機能の追加です。
簡単に言えば、高画質化はノイズとの闘いなんです。センサーの画素数を上げると、低感度なら高精細な画になります。しかし、コンパクト機で高感度、たとえばISO1600にでもしたら、ノイズまみれでどうしようもない信号がセンサーから出てきます。その信号からいかにしてノイズを除去するか。それが画質における最大の開発テーマなんです!
──
低ノイズ化ですね。具体的に言うと・・?
池田
低ノイズ化のアルゴリズム(問題解決手順)はたくさんあります。アルゴリズムを複雑に組み合わせると、ノイズは確実に取れるんです。DIGIC 4のリリース時点では、望み得る最高の低ノイズ化が図れたと思っています。
──
しかし、アルゴリズムを複雑にするほど処理時間は多くかかります・・よね
池田
その通りです。DIGIC 4のアルゴリズムをDIGIC IIIと同じスピードとチップ面積でやったら、1枚の画像におそらく3~4秒、下手をすると10秒もかかるでしょう。それでは商品になりませんから、処理の高速化が絶対に必要なんです。逆に言えば、高速化できた分だけ高画質化が図られる。
──
DIGIC 4はDIGIC IIIに比べてLSIの面積が増えています。それが高速化できた理由ですか?
蓮覚寺
たしかにLSIの中の回路に使える面積も増えましたが、回路規模とアルゴリズムの規模は倍以上に増加しています。しかしそれが高速化のメインの理由ではありません。目標とする高速化が実現できたのは回路設計技術のおかげなんです。
──
ということは、DIGIC 4の高速化を目標値まで引き上げたのは川口さんのチームなんですね。
川口
まっ、そうなんです(笑)。高画質化と高速化の要求は、非常に高く、それを実現するための回路設計は、最適化のための工夫が必要です。高画質化に必要な処理回路は削らずに、処理フローを練り上げて最適な並列処理回路の設計にしました。たとえば、自動焦点や自動露出や液晶表示だけでなく、顔検出機能も並列で処理する。また、アルゴリズムの見直しにより、DIGIC 4の顔検出はDIGIC IIIに比べて3倍速くなりました。こういう設計技術によって、池田が私のチームに注文してきた高画質化のアルゴリズムも高速に処理できるようにしました。

写真:関口さん

関口
並列処理をすると、LSIの外にあるメモリーとの間でのデータの出し入れも増えます。パッケージ化の担当としては、頭が痛かった(笑)。そこで、パッケージ・基板に関する様々な技術を用いて、データの出し入れに伴う信号品質の向上を実現しました。
──
ここまでに出てきた話は全てハード回路のことですが、画像処理にソフトは関わっていないんですか?
池田
「DIGIC」のソフトが行っているのは命令の出し入れ制御、いわば交通整理がメインで、画像処理自体には一切関わっていません。ソフトの処理では遅すぎるんです。たとえば、1000万画素のセンサーから受けた1枚の画を普通のデスクトップPCで現像したら、たぶん15分は掛かるでしょう。対してDIGIC 4のハード回路なら、瞬時に処理します。1秒10コマの連写を実現する世界ですからね。
──
うーん。ハード回路の処理はそれほど速いんですね。

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